ほーさい

蟻が出ぬやうになつた蟻の穴
咳をしても一人
墓の裏に廻る
足のうら洗えば白くなる
肉がやせてくる太い骨である
いれものがない両手でうける
考えごとをしている田螺が歩いている
こんなよい月を一人で見て寝る
一人の道が暮れて来た
春の山の後ろから煙が出だした(辞世)